拙訳『スタッフエンジニアの道 ―優れた技術専門職になるためのガイド』の中にも何度か登場するLara Hoganさんの著書『レジリエントマネジメント』を読みました。
マネジメントに取り組む皆さんにとって、チームに訪れる危機を乗り越え、より強い組織にしていくことは、永遠の課題ではないでしょうか?
チームの結成時期におけるフェーズごと(形成期・混乱期・統一期・機能期)に起こる危機に対して、マネージャーが行うべきことや対処にあたっての考え方をまとめました。本書では、マネージャーがチームに様々な困難が訪れた際に、メンバーに対してどのように振る舞えばいいのかという実践的な内容を紹介しています。メンバーとの関わり方や危機に対しての対処法など、チーム運営には無くてはならない知識であるものの、あまり語られてこなかったものばかりです。これを読めば、困難に立ち向かい、危機から脱却し、さらなる強いチームへと成長する、レジリエンスを高めるための方法がきっと身につきます。
Lara Hogan著『Resilient Management』の翻訳書。
副題に「チームの育て方」、タイトルに「マネジメント」。ここで「自分向けではない」と感じてしまう技術職の人もいるでしょう。ですが、本書を読み終えて最初に思ったのは、これは、自分の扱い方を学ぶ一冊だ、ということでした。
各章の結びにある「コーチングの質問」で問われるのは、「あなた」つまり読者自身についてです。
各章で語られるのは「あなた」の行動に関してです。
そして、5章「困難を乗り越える力」における「乗り越えるべき困難」とは、「あなた」が対峙している困難です。
チームが危機に対峙しているということは、すなわちチームでリーダーシップを発揮すべき人達自身が困難さと対峙しているということであり、チームのレジリエンスを高めるというのは、すなわち自分自身としてその困難さを乗り越えていくための方法を身につけていくことなのだと考えます。
ところが、そうしたレジリエントマネジメントの仕方を体系的に学ぶ機会は多くありません。
一方で、前述の『スタッフエンジニアの道 ―優れた技術専門職になるためのガイド』、そして拙訳『エンジニアリング統括責任者の手引き ―組織を成功に導く技術リーダーシップ』においても、自分のエネルギーを大事に使うこと、すなわち自分自身をレジリエントマネジメントすることの重要性が出てきます。
これは、マネージャーでなくても、組織内での影響範囲が広がるほど、レジリエントマネジメントの重要性は高まっていくことを意味しているのだと考えます。
そういった点で、本書は、マネージャ職か技術職かを問わず、そうした局面いる人にぜひ手に取ってもらいたい、強く薦めたい一冊だと感じました。


